国の「伝統的工芸品」の指定を受けている「村上木彫堆朱」
村上市は新潟県の北部に位置する古い城下町で、古くから良質の天然漆を多く産出していたことから、江戸時代に「村上木彫堆朱」の技法が確立しました。木地に花や鳥などの模様を彫刻し、天然の漆を塗り重ね、上塗り後に艶消しという工程を行い、表現を豊かにするために毛彫りを施します。艶消し仕上げを行うことで、使い込むほどに色艶が増して、味わい深い漆器となるのです。
村上木彫堆朱は芸術的に特色ある工芸品として注目され、昭和30年2月に「新潟県無形文化財」に指定され、昭和51年2月に経済産業大臣(当時 通商産業大臣)から、村上木彫堆朱として国の「伝統的工芸品」の指定を受けました。
「経済産業大臣指定伝統的工芸品 村上木彫堆朱」および「この伝統マークを使った伝統証紙が貼られている村上木彫堆朱」は、産地組合等が実施する検査に合格した伝統的工芸品です。
村上木彫堆朱の種類
- 堆朱(ついしゅ)
- 木彫りの上に数回漆を施して、朱にて塗り上げ、塗りの最後につや消しで仕上げた代表的な技法です。使い込むことで、経年と共に自然な艶と明るみが増してきます。
- 堆黒(ついこく)
- 木彫りの上に数回漆を施して、中塗りから黒漆を用い上塗りで黒呂色漆にて塗り上げた技法です。
- 朱溜塗(しゅだめぬり)
- 堆朱の工程の艶消し後、更に溜漆を2、3回塗り重ねて丁寧に研磨して仕上げる技法。時とともに表面の黒が透け綺麗なアメ色へと変化していきます。
- 色漆塗(いろうるしぬり)
- 上塗りに数色の色漆を用いて鮮やかに塗り上げる技法です。これにより色彩豊かな表現が可能となりました。
- 金磨塗(きんまぬり)
- 彩漆の技法に更に金箔を貼り、その上に色漆を塗り重ね丁寧に研磨し、表面に薄らと箔を研ぎ出す技法です。箔の輝きはより作品を優雅なものへと誘います。
- 三彩彫(さんさいぼり)
- 彫漆またはむき彫りとも呼ばれ、彫りのない木地に朱・黄・緑の順に3色の漆を塗り重ね、最後に黒を塗り上げてから表面を掘り上げる技法。彫り加減ひとつで生まれる色漆の層は堆朱の技術の中でも、もっとも繊細な作品へと生かされております。
作業工程の紹介
村上木彫堆朱は、一つの製品が出来上がるまでに計19の工程を経なければ完成致しません。そしてその工程は全て、職人の技や長年の経験がなせるものばかりです。